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麻酔科学分野

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けんしうい日記

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つれづれなるままに、日暮らし、麻酔をかけ、変わりゆく血圧を眺めゆけば、あやしうこそものぐるほしけれ。

神無月の頃、咽頭といふ所を過ぎて、心臓超音波装置を入れること侍りしに、遥かな食道をふみわけて、心細く在りなしたる瘤あり。血栓に埋もるるもやもやならでは、つゆみえるものなし。弓部の拡大傾向、さすがに血流のあればなるべし。

かくてあられけるよと、あはれに見るほどに、かなたの大動脈にもやもやありたるが、ステントできびしく囲いたりしこそ、少し見辛くて、このステントなからましかばと覚えしか。


折節の移りがはるこそ、ものごとに哀れなれ。

「もののあはれは秋こそまされ」と、人ごにに言ふめれど、それもさるもにて、今一きは心も浮きたつものは、春の気色にこそあめれ。脈拍の音などもことの外に春めきて、のどやかなる血圧に、手術の佳境のころより、やや下がりだして、脈拍もやうやう逸りだすほどこそあれ、折しも出血つづきて、心あわただしく過ぎぬ。帰室になり行くまで、よろづにただ心のみぞ悩ます。花橘は名にこそおへれ、なほ、吐瀉物の匂ひにぞ、いにしへの事も立かへり恋しう思ひいでらるる。胃管内の胃液に、残渣おもつかなきさましたる、すべて、思ひすてがたきこと多し。

出口 浩之


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