sp

sp
麻酔科学分野

HOME研究分野紹介−臨床研究

sp sp

経食道心エコー法によるステントグラフト内挿術後のエンドリーク検出

記事一覧へ

You can see a large image by click. 開胸による胸部大動脈瘤手術は侵襲が非常に大きく、術後合併症の頻度も高い手術です。近年、低侵襲な血管内手術であるステントグラフト内挿術が注目され、高齢者やハイリスク患者を中心に全国で症例数が急増しており、当院でも数多くの症例を経験しています。
 当院で行われる胸部大動脈瘤ステントグラフト内挿術(TEVAR)では、ほぼ全例で、術中に経食道心エコー(TEE)による観察を行っている点が特徴です。TEVARにおけるTEE観察の重要な役割は、@大動脈内の性状(粥腫・石灰化の有無など)確認、Aガイドワイヤーやグラフト挿入時のガイド、Bバルーン拡張による大動脈遮断時の心機能モニター、C瘤内への残存血流(エンドリーク)の検出などです。われわれは、この中でも特に「エンドリークの検出」にTEEを積極的に活用し、その有用性を評価しています。
 一般的に術中エンドリークの検出は血管造影で行われます。しかし、エンドリーク内に循環する造影剤の量は限られているため、リークが少量であると、造影剤の注入量や撮像の角度によってはリークが描出されない場合があります。さらに、TEEのカラードプラ法を用いた評価の方が、血管造影よりもエンドリークの検出力に優れる、という報告があります。
 一方で、カラードプラで検出できたすべてのエンドリークに対して追加ステントの挿入、バルーンによるステント圧着といった追加治療を行う必要性があるのかどうかは現在のところ不明です。追加治療を行うことによるリスクもあるので、数週間から数カ月で自然消失するような予後に影響しないリークであれば、追加治療を行うメリットはありません。そこでわれわれは、ステントグラフト留置後の大動脈瘤内をTEEで評価し、予後に影響をおよぼすエンドリークの検出に有用かどうかを検証しています。
 TEVARにおいてTEEプローブは血管造影撮像の妨げになる場合があり、ともすると邪魔者扱いされている施設もあります。しかし、TEEが臨床的に有意なエンドリーク検出に有用であることが証明されれば、TEEの評価で追加治療施行の有無を決定することが標準となります。さらに、TEEによるエンドリーク確認の活用は、血管造影による被曝量や造影剤の使用量を減少させる効果も期待でき、患者の腎機能保護などにも寄与できると考えています。

(今井英一)



sp
sp
sp
sp
sp